「言葉は知っている」から一歩踏み込んだ「使える知識」に!
Introduction
ダンサーなら、絶対に出会うベーシック「アイソレーション」
言葉は知っている・実施メニューも知っている。
だけど、掘り下げた時に「あれっ」となってしまう人も多いのではないでしょうか?
ダンスをやっていない方は、聞き慣れないワードかもしれませんね。
本記事は「アイソレーションとは?」をとことん追求して、その大切さ・その魅力について、お伝えしていきます。
本記事で学べるダンス情報
- アイソレーションとは?
- 関連記事で伝えていく項目
- ダンスに於ける重要性
YouTube / SPACE ART Dance TV
実践動画
【アイソレーション】ダンス上達の秘訣!初級コンプリートメニュー
解説動画
【アイソレーション】頭・首編-ダンス上達の秘訣を解説!
解説動画
【アイソレーション】肩編-ダンス上達の秘訣を解説!
解説動画
【アイソレーション】胸編-ダンス上達の秘訣を解説!
解説動画
【アイソレーション】腰編-ダンス上達の秘訣を解説!
本記事は、上記動画とリンクしています。
テキストでは分かりづらいことも動画で確認すればすぐに理解できると思いますので、是非ご覧ください。
※YouTubeで公開前の動画は「非公開」になっています。
アイソレーションとは?
What is isolation?
初心者でも必ず出会う基礎
だけどその意味は意外と理解できていない!?
「さあ、今日は初めてのダンスレッスンだ」と緊張しながらレッスンがスタート!
ストレッチから順調に進み、
「次はアイソレーションいきま〜す!」と聞いて、
「ん?アイソレーション?と疑問に思いました」
このような体験談は、たくさん聞いてきました。
入門クラス・初級クラスでは、生徒さんを伸ばすために不可欠なトレーニングは、主に3つだと感じています。
- ①ストレッチ&筋トレ
体を強くすることと柔軟性を養うことが目的 - ②リズムトレーニング
ダンス技術を音楽に合わせて表現の幅を広げることが目的 - ③アイソレーション
体の作りを理解し、コントロールすることが目的
ダンスを知らない人でも
「ストレッチ・筋トレ」と「リズムトレーニング」は、言葉で説明できなくても、イメージで想像することはできると思います。
しかし、「アイソレーションやりましょう!」と言われて、直感的に何を練習するのか?を想像できる方は、ダンサー以外ではなかなかいないのではないかと思います。
ダンスに関わるなら、アイソレーションは避けては通れません。これは100%断言できます。
本記事では、アイソレーションの疑問あれこれを、スッキリ解決してもらうための内容にしていきたいと思っています。
アイソレーションを日本語にすると?
アイソレーション(isolation)は英語です。
これを日本語にすると
隔離
孤立
孤独
調べてみると、比較的上位に出てくる訳です。
あまりプラスのイメージが湧きませんね。
”科学などの専門用語として使われることが多いため、日常会話で使うことは少ない”
と言うような記述もありました。
ダンス用語としては誰もが知っているものです。分かりやすくご説明すると
”部位を一つ、分離させて動かす技術”
だと思って頂いて間違いありません。
この場合の「部位」とは、体の一部分です。
今回の実践メニューでは
- 首(頭)
- 肩
- 胸
- 腰
この4つの部位でアイソレーションの基礎をマスターすることを目標としています。
なぜこんなにもダンスに於いて重要視されるのか?
「体の一部を分離させて動かすのがアイソレーションかぁ!」
ここまでは、分かって頂けたと思いますが、ダンスに於いて、どうして重要なのか?がピンと来ない方もいらっしゃるかもしれません。
これを、
動画の画質
に例えて説明したいと思います。
動画の画質の良し悪しは何の差?
スマホの普及率、相当高くなりましたね。
SPACE ART Dance TVのレクチャー動画も、こちらの記事も、スマホから閲覧される方も多いと思います。
動画の画質が「いいな〜」とか「悪いな」と感じたことはありますか?
動画って、1秒間に約30枚の写真がパラパラ漫画のように流れているんです。
厳密には、1秒間に60枚!とか、種類はあるんですが、ここでは
〜30枚の写真がパラパラ移り変わっている〜
と考えていただくことが重要です。
もし、この写真の画質が悪かった場合、当然動画も画質が悪くなることに繋がるという仕組みです。
画質の良さを決めるのは、画素が一つの要素となっています。「ピクセル」とも言います。
画素は、
小さな四角がたくさん並んで一枚の写真を作っている
と考えてください。
と言うことは…
- 画素が高い=四角がたくさん並んでいる=画質が良い
- 画素が低い=四角が少ない=画質が悪い
このようになります。
整理しましょう。
- 1.動画は写真が並んでいる
- 2.写真の画質は画素が決める
- 3.画素は高い方がいい
厳密な専門知識は除いて説明しました。
皆さん、イメージ出来ましたか?
「画質の良さ」をダンスに例えるとどうなる?
さて、ダンスの話に戻りましょう。
「画質の良さ」の仕組みは、ダンスとよく似ています。
まず、動画は動くものですから、これはダンスを踊ることと一緒です。
写真は止まっているものですから、これはダンスの一つ一つのポージングと例えられます。
最後に、画素を何に例えるか?
これがアイソレーションとなります。
ポージングの質を高めるためには、アイソレーションを駆使する必要があります。
アイソレーション技術が高いと、どの瞬間を切り抜かれたとしても、質の高いポージングや軌道が表現できていますので、これは「ダンスが上手い!」と言われる大切な要素ということになります。
これは、動画を見ている人が「画質がいいね〜」と感じるのと近いものがあると思います。
ダンスではアイソレーションがとても大切!
この意味が分かって頂けたかと思います。
アイソレーションの知識は私生活全てのクオリティにも繋がる!?
アイソレーションは、ダンスだけにプラスの効果をもたらすわけではありません。
人間が生きていれば、何かしらの動作をします。
- 歩く時
- 何か、物を取る時
- 文字を書くとき
アイソレーションの知識を得ることは、私生活での動作の質を高める事にも繋がります。
同時に、姿勢を正しく保つ事にも繋がり、積み重ねは健康にも影響が出てくる事でしょう。
ダンサーも、ダンスをやらない方でも、アイソレーションは、知識・実施共に、ライフサイクルに取り入れて欲しい、素晴らしいものであることを知っていただければ嬉しいです。
アイソレーションの大切さをもっと広めたい!
アイソレーションとはなんだ?
と言うことは、おおよそ説明出来ました。
ここからは、どんなことが大切なのか?どんな事に活きてくるのか?をお伝えします。
大切なポイントは3つ!
アイソレーションで大切なポイントを3つに絞ってみました。
もちろん、中級者・上級者になってくると、もっと意識しなければならないことや、軌道の作り方・スピードコントロールなど、多くの技術を習得しなければなりませんが、
まずは、初心者もしくは、私生活で活かしていきたいという方に向けて「これだけは!」をお伝えします。
ノーマルポジションをキープ
ノーマルポジションとは「気をつけ」の姿勢だと思ってください。
姿勢を正して立つ!
これが、意外と難しいんですね。
こちらの筋肉を意識すれば、あちらの筋肉が抜ける…
これの繰り返しで、意識して立つ!と言うことが最初は難しいかもしれません。
しかし、立ち姿勢は出来るだけ足腰だけに負担を掛けるのではなく、全身を使って負担を散らした方が体には優しいですよね。
ましてや、ダンスは激しい運動です。
自分の体を守る意味でも、ノーマルポジションを自分のモノにしちゃいましょう。
【アイソレーション】頭・首編 ダンス上達の秘訣を解説!
この動画内「ポージング確認」の部分で、詳しくノーマルポジションを解説しています。
各部位を分離して動作
どの部位を動かすのか?を強く意識することが大事です。
【アイソレーション】ダンス上達の秘訣!初級コンプリートメニュー
こちらの動画は、
- 首(頭)
- 肩
- 胸
- 腰
の4箇所でアイソレーションを実施するメニューです。
私生活中でも、少し余裕のある時でいいので
「今、どの部位を動作しているか?」
をはっきりと意識することで、自然と動作の質を高める第一歩になります。
速い軌道からストップ
動作には、おおよそ決まったルールがあります。
「歩く時」の足だけに注目してお伝えしますね。
- 右足を上げる
- 右足を前方へ動かす
- 右足を踏む
- 左足を上げる
- 左足を前方へ動かす
- 左足を踏む
この動作を繰り返すのが「歩く」ですね。
私は、指導の際
これを「準備→軌道→着地の動作3行程」として、どの部分に改善点があるのかをアドバイスします。
初心者がアイソレーションを通して、最初に向上したい能力は
「準備姿勢の時、すでに着地を予測出来る能力」です。
今回の実施メニューでは、以下の様にルールを定めて、予想能力向上に必要な力を身につけてもらうことを目的としています。
- ルール①
素早い軌道=準備を正しく出来れば、素早く動ける。素早く動くための筋力を養う。 - ルール②
目的のポジションで確実にストップ=急に止めることで、必要な筋力を養う。
もちろん、他にも軌道の作り方や、リズムの取り方は存在します。
目的達成には、実施メニューに明確な意図を持つ必要がありますので、今回はあくまでもダンス初心者や私生活に活かすための最初の一歩です。
全てがプラスに繋がる「魔法のダンス技術」
アイソレーションをマスターすると、何やら良さそうだ!と言うこともお分かり頂けてきたと思います。
そこで「意識」について、少し触れたいと思います。
自分が動いている全体像は、自分で「見る」ことは難しいですよね。
- アイソレーションの質が上がってるの?
- これは、ダンスに活きる?
- 私生活で活きる?
と疑問に思うのは、自分で確認が出来ないことが大きいと思います。
だからダンスレッスンでは、鏡が用意されていることがセオリーですし、ダンサーは自分の動画を撮影し、確認する!を繰り返します。
ここでは、「意識」で確認できるポイントをお伝えします。
動作する部位の意識
アイソレーションを練習する際、必ず「どこ」を実施するかを明確にします。
「肩のアイソレいきま〜す!」といった感じで、インストラクターが指示した上で、練習が始まると言うことです。
ご自身で練習する際・私生活で意識する際も、「どこ」を意識してください。
もう一つ大切なことがあります。
部位を意図的に動かすということは、筋肉を働かせて動作させます。
もちろん「どの筋肉を動かすと、この動作が上手くいく」と感じる人はその意識で構いませんが、私の経験上「筋肉」への意識を強めると、必要以上の力みが出てしまい、スムーズな動作が出来なくなるケースが多いと感じます。
画素が低い状態ですね。
そこで、「どの骨を動かすか?」という意識に変えてみることをお勧めします。
例えば、肩を上に上げるアイソレーションでは、
「肩甲骨と上腕あたりの骨を上げる」と意識するようにします。
このように意識を「筋肉」から「骨」に移すことで「無意識の力み」という敵を避けられる可能性が高まります。
「動かない」と「動かさない」の違いをコントロールする
アイソレーションは、「どこ」を実施するか?を意識することが大事だとお伝えしました。
もう一つレベルを上げて掘り下げてみます。
実施していない部位はどうしたらいいでしょうか?
アイソレーションの意味、覚えていますか?
そうです、”部位を一つ、分離させて動かす技術”でしたね。
つまり、実施部位以外は、ノーマルポジション状態を保っていることが大事ということになります。
例えば、肩であれば
- 肩を動作させる
- 胴体と足・頭部は動かない
となるわけです。
しかし、初心者のうちは意識がアイソレーション実施ばかりにいってしまって、他の部位のことは考えられないと思います。
こんな時、インストラクターから「動かないように!」とアドバイスを受けることもあると思います。そして一生懸命、「動かないように!」と唱えながら真面目に練習する。が、上手くいかない。それどころか、実施部位まで動かしづらくなる…
このような感覚に陥ることは多くあると聞きますし、私もそうでした。
こんな時は「動かないように」と考えずに、「動かすところは〇〇で、他は動かさない!」と考えてみてください。
練習しているのは、あなた自身です。「動かさない」という主体的な言葉をイメージすることで、クオリティも練習効率も変わります。
何にでも利用できる考え方だと思いますので、参考までに。
ダンサーの「壁」はアイソレーションの見直しから!
何かを習得していく過程で、「壁」を感じることがあります。技術的なことや、モチベーションも複雑に絡んできますよね。
ダンスでは、多種多様な運動能力や、音楽的な要素を体現する能力が求められますので、常に壁を感じている!という人も多いのではないでしょうか?
そんな時は、アイソレーションを見直してみるのも一つの手です。
画質の例えを思い出してください。
画素の低いままで、動画のクオリティを上げるのは非効率的ですよね?
アイソレーション技術が低いままで、スムーズなダンスを踊れるのか?とても難しいと思います。
中には、ダンスを踊りまくることで、自然とアイソレーション技術が身に付いてきて、上達する人もいるのですが、私自身はそんなセンスはなく…途方に暮れることが多かった!
そんな時には、アイソレーション技術を見直して、ボディコントロール・ポージングを見直して深めてみると、成長の糸口が見つかったりしますよ。
私は、何度もアイソレーションに助けられてきましたので、同じ悩みを抱えている方にはお勧めの「壁の乗り越え方」です。
私生活にもメリットがたくさん!
意識について色々と語りましたが、私生活でもプラスになることが多いのが、アイソレーション技術です。
まず、姿勢がよくなります。
姿勢は体の負担を軽減し、軽度な症状であれば、こりなどの悩みを解決してくれる可能性が高いです。
他にも、動作が効率的になります。
例えば 物を取る時など、必要以上に首周り・肩周りの筋肉まで利用している可能性があります。
料理・パソコン作業・書き物をしている時、全てに於いてです。
アイソレーション技術は、こうした非効率的な動作を改善し、自分の生活を助けてくれます。
知識だけでも体への負担は違ってくるはずです。
ダンスをやっていない方にも、アイソレーションだけはお勧めしたいトレーニングです。
ダンサーでも、そうでない人も、アイソレーションの練習はお勧めです
アイソレーションの魅力、伝わりましたでしょうか?
「動く」ことは生活では避けられないので、正しい動作で体を守ることを、皆さんに知っていただければ幸いです。
12年間、毎日継続した経験談から
私は、ダンスを初めて一年間は独学でストリートダンサーでした。
その後、数人の素晴らしい先生と出会うことができました。
その先生方から、アイソレーションの大切さを教えていただき、魅力にハマって、その後12年間ほど、毎日欠かさずに練習しました。
今回の実施メニューとほぼ同じメニューです。
レッスンで教えるときもこのメニュー!指導が終わった後の自主練習もこのメニュー!
一年間で500回くらいは実施したと思います。
12年間だと…6000回くらい?!
初めて計算しました。びっくりです。
継続したことで得られたことは数多くありますが、
- 人間の体を理解するのに役立った
- ダンススキルを見極める能力が付いた
- 体調が悪い時の、感覚の違いもすぐに修正できる能力がついた
- 腰痛や怪我からの回復に役立った
と多岐にわたって、アイソレーションをやっていて良かったと思うことがたくさんありました。
アイソレーションの魅力が分かったら、是非ライフサイクルに取り入れてください
アイソレーションとは?の話を、ここまで読んでくださって、ありがとうございます。
ダンス技術は、ダンサーだけのものではないと感じます。
ダンスは人間の体を究極的に追求したエンターテイメントですが、その根幹は「人の体を理解する」ことも大切な要素です。
ダンスに興味がない方
運動は嫌だという方
ダンスは見るのが専門という方
スタンスはそれぞれでも、アイソレーションは全ての方に知って頂きたいですし、その知識・技術習得に損はないと確信しています。
アイソレーションシリーズ、今後の記事ではダンス技術について解説していくことになりますが、その根幹は全ての方に共通して大切なことがあるということが少しでも伝わっていれば幸いです。
YUSUKE a.k.a. GEMINI
著者プロフィール
ダンサー,振付師,写真,映像,Web制作 etc…16才ダンスを始める→18才プロダンサーとしてキャリアをスタート→20才独立、SPACE ART結成→24才単独自主公演を制作→
27才スクールオープン→念願だった、指導者・クリエイターとしての活動を中心に現在に至っています。
20代は年間100本強のパフォーマンスを3年間継続、その後も50本ほど出演を継続。
20代半ばから月間で150人以上の生徒を指導。その他、スポーツ・体育授業などの運動関連のコンテンツを指導・コーディネート。
30代から本格的にミュージカル・ステージ・MVなどの振付師として活動。行政関係の式典などの演出・構成やダンススタジオのコンサルティングも少々。
およそ月間200人ほどの生徒を指導した15年間を経て、現在はダンスに関わる技術・思考法の伝承に力を入れています。